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自然に優しいみかんの栽培

農場に肥料も資材も持ち込まない,そんなことが出来るのです

我が家において、みかんの無肥料栽培を可能とする技術

慣行栽培圃場でも自然からの養分供給量は相当あるということは、いろんな方々が述べておられる通りで
①一般栽培農産物の残渣物や雑草(根を含む)が分解されたもの、
②マメ科に代表れる根粒菌との共生による窒素固定
③圃場に住み着くミミズ,クモ、毛虫、など無数の小動物の死骸
④鳥類や狐、狸、猪など獣の糞を微生物が分解したもの
⑤水田などでは上流から養分が流れ着く,この作用は畑でも


このように日常的に養分は圃場に供給されておりますがこれだけでは,みかんのような養分要求量の高い作物では 、到底足りないため、無肥料になると1年目は土壌に残っていた肥料分でなんとか育つ、あるいは多くがこれまでは多肥栽培 だったから、むしろ肥料が切れることでその年は高品質なみかんとなることもある。しかし2年目からは枝が枯れこんで落葉、葉の黄化、 ついには枯れてしまうこととなります。 まだ無肥料栽培の実績もないのに、多くを語ることは出来ませんが、すでに3年ほど前から,慣行栽培の2~3割 の肥料で栽培して令和4年は完全無肥料栽培中なので,仮説の話ではあるものの今思っているみかん栽培での 無肥料栽培が出来る訳を考えてみたいと思います。

そもそもの大原則として、太陽の光エネルギーがほぼすべてで,これがすべての生物の大本です。 それに水と土と二酸化炭素で植物は育つ。そんな中でみかんが無肥料で育つのはどういう状態か、 私的によく言うのは、生物多様性を実現できた土 と言っておりますが、結局それをより具体的に表すことが 出来ればそれが回答かなと思います。 そこで現在の我が農場の状態では、春からは通常の春草、スズメノエンドウ、紫カタバミ、スイバそれに 稲科の各種雑草などが生えて、今はそれらの春草は枯れてセイタカアワダチソウ、よもぎ、いたどり、さらに蔓草類でヤブガラシ くずなどが大繁茂しています。これまでくずはさすがに繁殖力が強すぎて,できるだけ生やさないようにしていた経過もあります。 これらの植物をみておそらく農業者なら、農作物にとってはジャマな厄介者でしかない雑草です。と言うか、このような草を畑に 生やしているような状態では農業者失格の烙印を押されることは必至です。でも無肥料でみかんを作るためにはこの植物こそ 必要なのです。どういうことかというとむやみに大きくなる。しかもほとんど肥料分を必要としなくて大きくなる。つまりセイタカアワダチソウ(外来種で地上部は大きくなりますが地下部の根っこは比較的小さいのであまり いいとは言えませんが)やイタドリでは6月の段階で2メートル を超える高さまで育ち,ヨモギも他を圧倒する繁殖力で伸びます。ヤブガラシ(秋の花にスズメバチが群がりますので歓迎できないですが)、くず,アマチャズル(ヤブマメかも)など伸び放題です。 中でもくずは図鑑によれば、マメ科のつる性多年草で根は太く大きく大量のデンプンを含んでおり食用になるそうで,関西地方で 作られている葛餅などの原料になります。 つまりこらの厄介者の大きな草は太陽エネルギーから光合成でエネルギー変換をして化学エネルギーとなるのですが。1年生の春草に 比べてエネルギー変換能力が何倍も大きいのではないか。その結果膨大な草とそれに匹敵するほどの根っこが残り、やがて腐植となったり 養分となるのではないかと考えます。かくして土壌は 分厚い生物多様性を実現できた土となり,そこでみかんはすくすくと育つのです。このような膨大な草をいかにみかんと共存させていくかが,栽培上の大課題でもあります。 令和4年7月4日

それではすべてのみかん農家が無肥料にするのがいいのか

  

慣行栽培に比べて無肥料栽培は、まさにコペルニクス的転回とも言える技術ですが、まず良い点は①雑草を大量に繁茂させることで、結果腐植が増える②同時に地中に伸びた根っこもいずれは腐植となり土壌の物理性が良くなり団粒構造で豊穣な生物多様性の圃場となり、栽培されるみかんの品質向上に寄与する③肥料を施用しないのですから、肥料代がかからない④草刈りはほとんどしないのでその分の労力は少ない⑤花が大量に着いたりする着果過多の現象が少なくなり摘果労力が軽減される。⑤草が土壌浸食を防ぐ ⑥雑草の大量の根っこが地中深く入り込み、それが腐植となりそこにみかんの根っこが入り込み,夏の乾燥に強くなります。(慣行栽培では肥料を求めて根っこが地表に集中しますから乾燥するのです)⑦亜鉛、苦土、マンガンなどの欠乏症が皆無となります。

良くないあるいは問題点としては①肥料資材などを投入しないことで,近隣の堆肥、厩肥など生産現場の副産物が産業廃棄物となってしまう②草刈り労力は削減するが、草に覆われることで,カミキリ虫が発生しやすくなり、大量の草で発見も難しく捕殺作業に追われることとなる③果実の汚れ等外観が悪い果実が増える④常に草に覆われているため,マダニ、マムシなど危険生物に注意する必要があり、作業効率の低下は避けられない。等々
とりあえず思いついたことを述べてみました今後このような栽培方法に適した農機具も出てくれば,助かります。例えばこれまでの乗用草刈り機では,最大草刈り高さが10センチがせいぜいでしたが,今は15センチになり,今後30センチくらいの草刈機が登場してくれればと願っています。今後さらに追記します。

SDGsに貢献する無肥料栽培

現在コロナ、ウクライナの戦闘などで、食糧危機が現実のものとなり,食料安保が以前に比べ注目されてきました。 その一つが肥料費の高騰ですが、肥料は原料から生産、加工、販売までの過程で大量のエネルギーを消費しており, 政府も肥料代の補助などを予算に組んでおりますが,無肥料栽培ではすべてが0円ですみます。さらに光合成で 光エネルギーを化学エネルギーに変換する過程で酸素を放出します。夜間は逆に二酸化炭素を出しますが, 酸素の放出量の方が多いですから、環境に優しい栽培方法でもあります。 なので慣行の栽培農家でも無肥料栽培の応用をすれば(なかなか困難も伴いますが)肥料費を半減させる効果 があります。無肥料栽培を実行する中で、多くの問題点を皆さんの知恵を拝借して解決して、 徐々に現在の栽培方法に少しずつでも取り入れていただけると、日本の農業に新たな解決策の一つとなると思います。

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